尿路結石症について
尿路結石症
尿の中には、体内から排出されたさなざまな「ミネラル」などの成分が溶けています。この「ミネラル」が何らかの原因で尿に溶けきれなくなり尿路内で結晶化し、さらに結石を形成したものが「尿路結石」です。
結石の種類はいくつかありますが、犬や猫では「ストラバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」が多く見られ、この2種類で結石全体の約80%を占めています。
尿路結石症の症状はさまざまですが、
・決められた場所以外での排尿
・頻尿
・血尿
・排尿痛
・排尿困難 などがみられます。
どれか一つでもあてはまる場合は、動物病院への受診を勧めます。尿路結石症いがいのも、病気が隠れていることもあります。
結石が尿道につまって尿道閉塞を起こすと尿を排泄することができなくなり、そのまま放っておくと命にかかわる危険な状態におちいることもあります。
この場合は、緊急で動物病院へ受診することを勧めます。
尿路結石の予防・治療には、食事管理が重要です。
次の3つのポイントに配慮する必要があります。
①尿の量を増やす
消化性の低いフードを与えると、便の量が増えます。便には水分が含まれるので、便の量が増えると尿量が減ってしまいます。このため消化性の高いフードが推奨されます。また、食事中のナトリウムを増やすことも有効です。
②尿中に排出されるミネラル量を減らす
食事中に含まれるミネラルを単純に制限するだけで、尿中に排泄される量が減るわけではありません。体内のミネラル量はさまざまな仕組みによって調節されているからです。なので、食事に含まれるマグネシウム(ストラバイト結石を形成)や、カルシウム、シュウ酸(シュウ酸カルシウム結石を形成)の量は適正に調整する必要があります。
③尿のpHを変える
ストラバイト結石は尿がアルカリ性に傾くことにより形成されやすくなります。ストラバイト結石では、フードのミネラル分などを調整し、尿が弱酸性化するように配慮されている食事が推奨されます。なお、シュウ酸カルシウム結石は尿のpHの影響はほとんど受けません。
尿路結石に配慮するためには、上記のどれかひとつだけでは不十分です。
総合的に考えてフードを選ぶことが重要です。
ご不明な点があれば、当センターへご相談ください。
博多犬猫医療センター
動物看護師
濱田 将平